2008年10月30日木曜日

トンボの無核精子

 修士論文の中間発表を筑波に聞きに行った.発表のなかにトンボの雄の繁殖戦略に関するものがあり、その話のなかに『無核精子』というものが出てきた.トンボを含む昆虫類のあるグループには精子に有核のものと無核のものがあると言う.精子の存在目的は遺伝情報を卵に運ぶことだと思っていたので、核が無くてはお話しにならなくて、何の役にも立たないのではないかと思って質問してみた.無核精子の存在意義については諸説あるそうだが、雌に精子を注入する際に、先立って交尾した雄が入れた精子を奥に押し込めて大量の無核精子でブロックし、自分の精子がより手前に来るようにするためというのが、有力な仮説らしい.より外側に有る精子ほど、有効な精子となって雌に使ってもらうことができるらしい.昆虫には交尾の際に既に雌に入っている精子を掻き出すものや、交尾後に雌が他の雄と交尾できぬように生殖口に栓をしてしまうものもあるという.ずいぶんと凝った工夫をするものである.

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