2010年6月1日火曜日
ウェットスーツのオーバーホール
真っ黒な厚さ 6.5 mm のゴム製ウェットスーツは、保温力が高いが裂けやすいのが難である.些細なキズがきっかけとなって、脱着時にいきなりツーッと裂けて、慌てさせられる.こまめに小さなキズを補修するのが予防策なのだが、たまに裂けるのはどうにも避け難い.そんな時にはガムテープを巻いて応急処置を行い、海から上がってきてからゴム糊で補修を行う.ガムテープでの処置法は、伊東でショップのプロダイバーの方々と潜った時に、緊急対応法として実地で学ばせて頂いた.しかし、ゴム糊での補修はなかなかに難しい.伸縮するもの同士を大きなズレのないようにぴたっと貼り合わせなければならない.切断面の両側にゴム糊を薄くムラなく塗り拡げて、まずは乾かす.急ぐ時はドライヤーで乾かす.表面にさわってもべとつかない程度になったら、おもむろに両断面を貼り合わせる.この時にずれぬよう、予め貼り合わせの目印をマジックで付しておく必要がある.上手に貼り合わせれば、傷が無かったかのように貼り合わせられるのだが、なかなかそのようにはゆかない.裂けと補修を繰り返して 7-8 年も使ううちに、私のウェットスーツはつぎはぎ痕だらけになってきた.補修面に隙間のあるところでは、古屋の隙間風のようにスースーと水が入り込んできた. そのうえ膝の部分が薄くなり始めて、ここからは染むように水が浸入してくる.それでもなんとか我慢して冬の作業に着ていたのだが、4 月中旬の調査時に着ようと思って、ぐっと引っ張ったところ、3 箇所ばかりで同時に巨大な裂け目ができてしまった.ガムテープでの補修が効くレベルの傷ではない.仕方ないので、昔使っていたおんぼろジャージのウェットスーツを引っ張り出してきて、寒さに震えながらもなんとかその日の調査を乗り切った.海から上がって、次の日にはオーバーホールに出した.正直なところ修繕不能で、新調が必要かと思っていた.我々のウェットスーツを作ってくれているのは、I 海洋という作業潜水の器具を売ったり潜水手配をしたりする店の T 氏で、彼の作るウェットスーツは少々値は張るが、極めてフィット感が良い.採寸に基づく成型に色々な経験を注ぎ込んでいるためだろう.今回のずたずたウェットスーツの再生は、さすがの彼でも無理かと思っていたのだが、10 日もした頃に段ボール箱に入って届いた補修済みスーツは見事な芸術作品のようだった.ゴムの劣化部分をすべて取り除いて、薄くなった部分は切り取って、上手に継ぎ接ぎしてあった.表面は見事に滑らかで、接着部分ので凸凹なぞはどこにもない.再び着るのが惜しいくらいの出来映えだった.おかげで、先月の潜水は水漏れのない暖かで快適なものとなった.心からのびのびと水中を楽しむことができた.
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