魚のなかでもフグの仲間は特別に奇妙な泳ぎ方をする.多くの魚は尾びれを使って主な推進力を生む.ところがフグの仲間では背びれと尻びれが推進力を生み、尾びれは舵取りを行うに過ぎない.しかも、この背びれと尻びれの動かし方が不思議である.上下のひれを同じ方向に倒しながら進むのだ.フグでは注意して観察しないとこの動き方を認めにくいのだが、フグの仲間で最も大型の魚、マンボウでは、背びれと尻びれが上下に大きく突出しているために、右に左に上下のひれを倒しながら泳ぐ姿を観察し易い.水族館で飼育されているマンボウのこの泳ぎ方を見ていると、ずいぶんと不格好で効率が悪いように思えてならなかった.ところが、2 ヶ月前に発表された論文によると、マンボウのこの泳ぎ方は、ペンギンの羽ばたき遊泳法と全くいっしょと考えてよいらしい.http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0003446要するにペンギンが横になって泳いでいる状態がマンボウの遊泳であって、決して非効率な泳ぎ方ではないようだ.かなりの速度も出るらしい.生物を見る時に動きが左右相称だと安定したものに見えて、安心感がある.これが横倒しになっているだけで、奇妙に思えるという、そのことも人の感覚として面白い.
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