2008年12月3日水曜日

冷蔵庫の付喪神

 エコブームが押し寄せてきて、エコでない冷蔵庫を排除しようということになったようで、冷蔵効率の悪い昔の冷蔵庫を探し出して新しいものに替えようという動きがある.大学でも購入後 10 年以上経った冷蔵庫のチェックが行われた.驚いたことに、あまり人が頻繁に利用しない部屋の薬品保管用冷蔵庫に 38 年経っているものがあった.物を一定以下の温度に冷やすという機能に特化していたから長く使われて来たのだろうが、こんなに長い期間故障せずに動き続けて来たのは驚異的だ.近頃の家電製品やパソコンではこんなことは考えられない.まず機械として10 年を超えて使い続けられるものは少ないし、動いたとしても機能が時代についてゆかないと、特にパソコンやその周辺機器などは使い物にならなくなる.我が家のプリンタも購入してわずか 2 年ばかりで動かなくなりやむなく買い替えたが、同じくらいの価格で以前はプリンタのみの単機能であったものが、新しいものはスキャナも付いてカラーコピーもできる多機能型だ.こんなものが 1 万円未満で買えるとは驚きだ.物を大事に長く使うよりも、どんどん買い替えてゆく方が得だし、企業側もそう仕向けているのは自明である.より電気効率の良い製品が開発されて、それにあわせて旧製品をどんどん買い替えてゆくのが当代のエコなのだろう.畑中恵の『しゃばけ』シリーズにはいろいろな付喪神が出てくる.100 年も大事に使われたものには神が宿るということなのだが、わが職場の冷蔵庫は神になる道を近々断たれそうだ.

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