2008年12月9日火曜日
夜の高速バス
今朝の講義のために昨夕 6 時半に下田を出て、東京駅に午後 9 時過ぎに到着した.大学構内の宿泊施設に向かうには、秋葉原に出てつくばエクスプレス (TX) に乗ってつくば駅で降り、駅前のつくばセンタ−からバスで大学に向かうのが通常である.しかし、この時間に秋葉原に向かって TX に乗ると、つくば着が 10 時をだいぶまわって、つくばセンタ−から大学までのバスをつかまえられなくなる.そうなるとタクシー利用を余儀なくされることになりそうだった.平素ならバス定期券で行けるところをひとり乗りタクシーで行くのは浪費である.そこで久々に東京駅発筑波大学行きの高速バスを利用した.最近、筑波大学から東京へ向かう上りは『上り専用回数券』による大幅割引があるために頻繁に利用していたが、下りにはメリットがなかったので、しばらく遠ざかっていたのだ.しかし、つくばセンタ−まででなく大学まで運んでくれるというのは、今回は大きなメリットだった.だいぶ機能的な感じに様変わりした八重洲南口のバスセンターで午後 9 時 40 分発のバスに乗ることにした.発車は 5 番線からで、午後 9 時 25 分くらいに行ってみると巨大な夜行高速バスが停まっていた.青森行のラ・フォーレ号で、私のすぐ前では 20 代半ばくらいのカップルが別れを惜しんでいた.静かな感じの細身の女性は、男性とつないでいた手を解くと、可愛らしいバッグを抱えて青森に向かってバスに乗り込んだ.一方、手に包帯を巻いた生真面目そうな職人風の男性は、女性が乗り込んでカーテンの陰に姿が見えなくなったあとも、近くの柱に寄りかかって発車まで見送っていた.何かしら物語が埋もれていそうな様子のふたりで、映画のワンシーンのようだった.次にやってきた筑波大学行きの高速バスは、青森行の立派さに比べて何だかずいぶんとお粗末に見えて、ボディサイドのつばめマークが少しばかり寂しかった.車内はつくば方面への帰宅客であっという間に一杯になった.仕事帰りで疲れて眠る人々が多く、まるで寝台バスである.夜の下り新幹線こだま号の車内と同じような雰囲気だ.忘年会シーズンでもある.無理からぬことだ.それでも、桜土浦で高速道路を下りると皆眼をさまし、ひとりふたりと順次自宅の最寄りバス停で降りてゆき、最後に大学近くで降りたのは私だけだった.帰宅する人々の中で、ひとりだけ出勤するという状況に置かれるのは、ずいぶんと寂しかった.
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