2008年11月19日水曜日
木を焼く楽しみ
ウェリントンのウォーターフロントに TE PAPA という名前のニュージーランドの国立博物館がある.入場料は無料だが、自然科学や民族から技術や芸術にファッションまで幅広く扱っていて見応えがある.展示の仕方も、眺めるというよりは見学者が包み込まれるような感じのものが多かった.なかで印象深かったのは、ヨーロッパ人が 19 世紀から入植してきたことによる自然環境の改変についての展示だった.入植時から現在に至るまでで、もとの植生は高地を中心に 25% 程度残っているに過ぎないという.その理由は入植者たちが牧草地を確保するために原生林を片端から焼き払ったからだという.焼き払ったあとは醜く黒焦げになるが、その次の春には美しい草々が芽吹き、鮮やかな緑に被われる.その当時の入植者の女性の日記が紹介されていて『木を焼く楽しみ』が述べられていた.環境保全の立場で現在の人々から考えれば、ゾッとするような話だが、未開の土地に入ってきた人々が、森を開いて自分たちの故郷の風景に近づけようとした気持ちは理解できる気がする.自分たちの祖先の、今から見れば負の歴史を博物館に展示している所は学ぶべきであるとも思った.街中ではそこここに英語とマオリ語の併記が見られて、学校ではマオリ語も学ぶという話を聞いた.この国の人たちの心根の美しさを垣間見た気がした.
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