
2008年11月17日月曜日
STOP LOOK LIVE
ニュージーランドの首都はオークランドだと思っていたら、私たちの向かうウェリントンが首都だと、行きの飛行機の中で観光ガイドを見て知った.自身の口頭発表の準備が間に合わなくてギリギリの状態なのに、学生の発表の手伝いなどやっていたら、行き先についての予習をするどころではなくなってしまったのだ.実際のところ、現地で発表の準備の続きをやるはめになり、ホテルでパソコンが使えないとアウトの状態に追い込まれた.念のために、成田に向かう途上で秋葉原のヨドバシカメラに寄って、小型変圧器と変換プラグを買い込んだ.でも、哀れなジタバタ努力はなんとか実を結び、ミニシンポジウムでの私の発表も学生のポスター発表もなんとか無事にクリアできた.重圧から開放されて、ちょっと身軽になった気持ちで、ふらっと街に出た.ホテルはウェリントンのダウンタウンの繁華街を抜けるキューバストリートという賑やかな道のすぐ近くにあって、建物の外に一歩出れば人のうごめきの圧力が体に直ぐに伝わってくる.学会の1日が引けて商店も閉まった頃のキューバストリートを、私は海方向に北上した.3車線分くらいの幅の道に沿ってマレー料理、インド料理、タイ料理などの食堂、雑貨店、書店、アクセサリー店、それにいろいろなカフェが途切れなく並
んでいる.昼前後には、道端でギターを弾いているひげ面の男や小銭稼ぎにバイオリンを弾く子供がいたり、両手にピンをもって大道芸を見せたい男が客を誘おうとしていたりもした.商店は午後7時には閉まるが、夜8時頃まで明るいため、ひどく夕方が長い.遅い日没を過ぎるとカフェやレストランは人であふれ始める.皆が本当に楽しそうだ.夜が遅く始まるせいかみな宵っ張りのようなのに、朝は7時頃には同じストリートをたくさんのビジネスマンたちが北のオフィス街を目指して競うように歩いてゆく.彼らは寝不足にはならないのかと、ちょっと心配になってしまう.キューバストリートの突き当たりをひょこっと右に曲がり横断歩道を向こう側に渡ろうとした時に、ふと目を落とすと、その渡りはじめの足元のところに、『STOP LOOK LIVE』と白いペンキ文字が書かれていた.『Stop, look and live』ということなのだろうけれど、『LIVE』の付いているところが、生々しいというかカッコ良い感じがして、思わず写真を撮ってしまった.ウェリントンの横断歩道の歩行者用信号はボタンを押してから青に変わるまでの時間も早いが、青が赤の点滅に変わるまでの時間もひどく短い.キツツキが木を叩くようなせわしない音に急かされる.どうしても急いで横断歩道を渡りたくなるのだ.だから『死にたくなけりゃ、止まれ!見よ!』なのである.

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