2008年11月1日土曜日

プランクトン観察スノーケリング

 スノーケリングの目的は、水面をひたすら泳ぎ回ってスポーツとして楽しむこともそのひとつであるだろうけれど、ふつうは魚や海底の生き物を観察することにあるだろう.見知っているけれど珍しい魚を見つけて嬉しくなったり、見かけない魚の登場に頭の中のデータベースとの照合を急いで、合致データのない場合には一生懸命に特徴を覚えて帰って、図鑑で探してみようと思うのだ.あるいは岩場のカニを追ってみたり、少し潜って海底のナマコやヒトデを拾ってくるのかもしれない.でも、ちょっと趣向を変えて、プランクトンを観察するためのスノーケリングをやってみると、これがすこぶる面白い.プランクトンというと、ふつうはプランクトンネットというプランクトン採集専用の網で集めて、持ち帰ってから顕微鏡観察するイメージが一般に行き渡っていると思う.でも、人間の眼というのはかなり性能が良いものなのだ.ちょっとしたイメージの切り替えで、すんなりと海中プランクトン観察ができるようになる.眼でとらえようとするイメージの大きさを小さなものに変更すればよいのだ.要するに、ごく近いところ、目のすぐ前の数 cm から10 cm くらいの所をあえて見ようとすればよいのである.立ち泳ぎ加減で観察するのが良いかもしれない.水面直下に粒々の夜光虫が見えるときがある.夜光虫はたかだか0.5 mm くらいの大きさだから、これくらいのものは楽に判別できるのだ.逆光ぎみにするとよりよく見えることもある.小さな小さなカイアシ類たち(微小な甲殻類、ケンミジンコに近い仲間)は普通にたくさん見えてくる.ときに、蛍光色に輝く大型のカイアシ類であるサフィリナを見かけることもあるかもしれない.ススッと直進しては急停止する不思議な動きの細い棒状の生き物はヤムシである.微小なクラゲが多数漂っているのに驚くことがあるかもしれない.私は、手のひらサイズのクラゲを目前でよくよく眺めていたときに、表面にヨコエビの仲間のクラゲノミが付いているのを見つけたこともある.慣れてくると楽しくて、プランクトンの多い時には夢中になることもあるかもしれない.でも、用心が必要だ.周りがよく見えないので、自分がとんでもない所に流されていたり、人や物にぶつかったりすることがある.それに仲間がいないところで寄り目がちに水中観察をしていると、傍目にはそうとう奇妙で、変人扱いされる恐れがあるからだ.

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