昼食後すぐのことである.仕事に出かけるため玄関に出ようとしたところ、庭で秋の虫を追い回して遊んでいた4歳の次男が、泣きながら駆け込んできた.切羽詰まった様子で、痛い痛いと鼻をおさえて叫ぶ.どうしたのか聞いても、全く要領を得ない.転んでぶつけたのかと聞くと、首を振る.兄さんにぶたれたのかと聞くと、これも首を振る.よく見ると、鼻の左側のつけ根をおさえて騒いでいる.虫でも入ったのかと思い、鼻に何か入ったのかと聞いたら、うなずいた.泣き声でとぎれとぎれに語るには、突然タネが飛び込んだという.半信半疑で鼻の穴を覗いてみたが、何も見えない.小児科に連れて行くべきだと思ったが、念のため、右の鼻の穴をふさいで思い切り左の鼻の穴から息を出してみろと言ってみた.泣き顔のままで口から息を吸い込んだ彼が、鼻からブッと息を押し出したとたん、何か黒い塊が飛び出した.それは真っ直ぐに30 cm ばかり飛んで、玄関のすのこの隙間にはまり込んだ.指を突っ込んで拾い上げてみると、それはオシロイバナの種子だった.こんなに大きな種が自然に鼻に入るはずはないと思い、自分で入れてみたのかと聞いたが、ぜったいに違うと言う.よく聞くと、オシロイバナや雑草の生い茂る草むらに頭を突っ込んで、バッタを追い回していたらしい.いきなり片方の鼻の穴がふさがったという.オシロイバナの株の上に顔を近づけて思い切り息を吸い込んだ拍子に、近くにあった種がスポンと鼻の穴に入ってしまったらしい.椿事であった.心配していた私と女房は、大笑いした.泣き顔だった小僧は、ケロッとした顔でまた虫を追いかけに出かけた.
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