合同臨海実習が実施された.2つの異なる大学が同じ期間に同じ部屋を使って実習を行うのは、私の知る限り、下田臨海実験センターで初めてのことだ.年間約20回実施される臨海実習のうち、公開臨海実習と公開講座を除いて、通常の臨海実習は一つの大学のみで行われる.かつては一つの臨海実習の参加者数はどこも20名を超え、40名が臨海実習の受け入れ上限である我々のセンターでは、一時期に1大学実施しか不可能であったという事情もある.しかし、ここ数年臨海実習参加者はどこの大学でも減少傾向にあるようだ.今回のO大学とY大学は参加者数がいずれも少なめで実施希望時期も重なっていたことから合同開催することになった.Y大学の先生のひとりが全体を統括して、ほかの先生方が協力し合って指導や生活面のサポートを行なった.学生については一方は2回生、他方は3回生であったが、2大学混成班をあえて作った.すべての日程が終わって解散した今振り返ってみると、とても良い実習であったように思う.学生たちはすぐに馴染んで行動するようになり、懇親会の時には赤外線によるメアド交換の嵐であった.先生方は化学専攻、陸生昆虫専攻、海藻専攻など専門はいろいろで、話をしていて、相互に良い刺激があったようだ.最近、学生も教員も大学は縦割りの世界の中にはまり込みがちで、学会も専門に細分化されているために、異分野の方々と話をする機会は乏しくなっているのではないかと思う.合同臨海実習は教員にとっても学生にとっても得るところ大だと思う.今後、こちらからも広く合同実施を提案して、大学からの希望があれば、もっと実施してゆくとよいと思った。
臨海実験センターは異分野の方々が行き交う交差点のようなものである.思わぬ出会いがあり、思わぬ発想の誕生する場であってほしい.18世紀のイギリスで催されていたという『月光会』の話を外山滋比古氏の本で読んだ.多岐にわたる分野の知識人たちが定期的に集う会から、のちの科学の大きな発展につながる発見や発明がいくつも生じたという.そんな知性の化学反応が、臨海実験センターでもどんどん生じてよいはずだ.個人や小グループで臨海実験所を訪れる方々にも、もっと相互に交流をもってほしいし、臨海実習の合同実施もそんなきっかけにつながると期待したい.
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