2009年2月5日木曜日
小型捕鯨から沿岸捕鯨へ
『クジラは誰のものか』という本を読み終わった.世界の人々の捕鯨についての考え方と日本のおかれている現状をよく理解することができた.著者の主張は、民族の歴史、文化や考え方の多様性を考慮せずに捕鯨について論じてはならないというところにあると感じた.日本の捕鯨は西洋捕鯨と生存のための捕鯨の両極のいずれにも位置しないグレーゾーンにあり続けたために,国際的な理解を得難いということのようだ.ちょうど読了直後の新聞に国際捕鯨委員会 (IWC) の議長提案について掲載されていた.現在日本が行なっている捕鯨は、IWC が規制の対象としていない小型鯨類を沿岸で獲る小型捕鯨と南極海における調査捕鯨である.今回の議長提案では、沿岸捕鯨でこれまで禁止されてきたミンククジラなどの捕獲が容認されるというものだ.交換条件は、南極での調査捕鯨の規模縮小、そしてやがては中止へと向かうことである.そうなると、日本人が口にする機会のある鯨肉は南極海産から北西大西洋産に移行することになる.気になるのは汚染である.南極海の鯨に比べて北西太平洋産の鯨は水銀やカドミウムや PCB による汚染の程度が著しいと前述の本に述べられていた.汚染鯨肉が市場に出まわる機会が増すのではないかと危惧することは杞憂だろうか?
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