2008年9月27日土曜日

ハトの針地獄

 伊東にはハトヤがあるが、熱海にはハトの地獄がある.下田から東京に向かう時に、乗り継ぎが悪いと熱海駅で30分以上待つことになる.そうした時に読み物の持ち合わせがなかったり、持っていても疲れていて読む気がしなかったりすると、吹きさらしのホームで時間を過ごすことになる.そんな時は、周りにいる人の様子を眺めたり、通過列車の観察をしたりするのにもすぐに飽きてしまう.あるとき、ふとホームの上方を見上げると、傾斜した屋根の下のところに、長くて細い針がホームの端から端までびっしりと植え付けられていることに気付いた.始めは何のためだか分からなかったのだが、人から聞いた話によると、ハト除けらしい.新幹線の駅舎の屋根下は、鳩にとっては魅力的なねぐらなのだろう.かつては糞害がものすごかったという.最近ハトもハトの糞もホーム周辺で見かけないところをみると、針地獄は効果てきめんのようだ.大学時代に東京でドバトの営巣場所探しを、調査のアルバイトでやったことがある.その時聞いた話では、ドバトはガード下や歩道橋下など、人の生活圏のごく近くに、あえて営巣するらしい.エサの確保に加え、カラスなどからの防御のためでもあると聞いたような気がする.熱海駅の針地獄を逃れた鳩たちは、どこに営巣するようになったのだろう.少々気になるところである.

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