2008年9月16日火曜日

海の中のムカデ

 高校時代の友人であるA氏が訪ねて来た.高校教員をしている彼は多趣味で興味の範囲も広く、話が面白い.驚くようなエピソードがポロポロこぼれてくる.今回は1200 ccのオリジナルチューンナップのバイクで伊豆に来て神子元島で潜ったという.ボートダイビングのエントリー前に、なぜか頭のてっぺんをスズメバチに刺され、腫れ始めているのに心配しつつもエイヤッと潜ってしまったと、そんな話を聞いた.それで、自分も似たような体験をしたことを思い出した.外浦のアマモ場で調査潜水を行った数年前のことである.調査のためにチャーターした漁船からスキューバ潜水の装備で海に入ったとたん、右足のつま先に鋭い痛みを感じた.次第に痺れが脚を上ってきた.これはムカデだな、と感じたのだけれど、海の調査では万事段取りが決まっていて、潜水時間内での作業の割り振りも決まっている.漁協手配や漁船のチャーターまでしてこの日にこぎ着けたのに、自分がここで抜ければ、また全てやり直しになる.ムカデごときでそんなことになってたまるかと思い、痛みと痺れをこらえて作業を続行することを密かに心に決めた.その前に、本当に敵がムカデなのか確かめようと思い、海中でマリンブーツを脱いで、逆さに振ってみた.ゆらりと出て来たのはやはり中くらいのサイズのムカデだった.ムカデにしてみれば、海中に投じられるとは思いもよらぬ災難であったろう.海の中でまだ少し足を動かしながら、海底に向って落ちていった.ゆらゆらと沈んでいったムカデの姿が、『冒険者たち』というフランス映画の中で女性が水葬されて沈んでゆくシーンとダブって、なんだか困ってしまった.

0 件のコメント:

閲覧数ベスト5