2008年9月5日金曜日

バスを待つ

 学会の会場を出たのは夜8時ちょっと前だった.滞在ホテルに向うバスに乗るために、会場近くのバス停に向った.街灯から遠くて薄暗いなか、バス停のポストには既に1グループ6人ぐらいが並んでいた.そのうしろに女性がひとり連なっていた.私はその後に並んだ.バスを待つ.来ない.バスを待つ.来ない.やって来たと思ったら別の系統で行き先が違う.またバスを待つ.まえの女性がふと振り返って、ちょっと驚きの表情を見せた.つられて振り返って、私もびっくりした.バス待ちの列は遙かうしろまでいつの間にか伸びていた.でも、バスはまだ来ない.もう後ろも振り返らないで、じっと待つ.ちょっと先の交差点の信号からぐるっと左折してバスの車体と系統番号が見えて、それが私たちの行き先を示すものだった時、皆からオオッとどよめきのような声があがった.なんだか拍手したい気持ちになる.奇妙な一体感を感じた.30分あまり薄暗闇の中でじっと押し黙って過ごして、そして生じた一体感だった.それは、バスの入り口ドアから先を競ってステップを登る時には霧消していた.

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