ノルマンタナイスの雄(上の写真)とノルマンタナイスの雌(下の写真)である.大きさを示すスケールが入っていないが、オスが体長約 3 mm、雌は体長約 4 mm だ.一見して分かる通り、雄と雌とではかなり形が違っている.雄の体は全体にガッチリたくましい感じで、はさみ(鋏脚)の大きさも雌よりずいぶんと大きい.雌の体が少々ほっそりとしていてはさみが小さい.
雌の体の両側にぶら下がってみえる袋(育房)に入っているのは卵である.この袋の中で受精卵の発生が進み、袋から出て親を離れる時にはほぼ親と同じ基本型をもち、言ってみれば親のミニチュアサイズとなっている.プランクトンとして漂うような幼生期はもたない.ちっぽけな幼体も自前の巣を作って、脱皮を繰り返して成長する.
この種類の性決定がどのように起こっているのかは、どうもまだよく分からない.野外では雌の方が多く見つかるのだが、実験室で飼ってみると飼育条件によっては雄ばかり生じてくる.どうも雄になるか雌になるかは、始めからは決まっていないようだ.環境か個体間の何らかの関係などのきっかけによって、性が決まるのかもしれない.成体になった雌は、自分の造った巣の中にいることが多く、雄は這い歩いて雌の巣を訪ねて廻るようだ.その途中で雄同士が出会うと闘いが生じるらしい.いずれにしても、繁殖生態についての詳しいことは、まだ分かっていないことばかりである.
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