2009年1月16日金曜日
冬の潜水
下田では、冬のいちばん寒い時期の海でも、なんとかウェットスーツで潜ることができる.だから周年ドライスーツを使うことがない.ウェットスーツは厚さ 6.5 mm のものだ.今頃から 2 月にかけてがいちばん寒い時期になる.船外機付きの船を浜に寄せてもらい、ダイビング器材や調査用具を積み込む.そのとき、寄せる波が足を洗う.マリンブーツの隙間からしみ込む水の冷たさに驚き、本当にこんな水に全身を浸すのかと、毎度思ってしまう.船を調査地点に停めてもらい、準備を終えると、スキューバ装備を装着した体を後から海面に落とす.間もなく、こめかみあたりから頭がぎゅーっと締め付けられるように辛くなる.悪さをした孫悟空の気持ちが分かる感じがする.耐え難い感じになる頃に、嘘のように頭も体も楽になって、体に感じていた冷たさもぐっと和らぐ.それからは、素晴らしい冬の海を楽しむことができる.春や夏にはなかなかに得難い透明度がある.海水が澄んだガラスに変わってしまったかに感じることもある.若々しくて美しい海藻たちが笑っている.何ともいえない清潔感と静寂感がある.動物たちが、大人しくうずくまっているせいもあるのだろう.小一時間の海藻の計測が終わる頃には、ウェットスーツ越しにも海水がひんやり感じられるようになって、手足の指先が冷たくなってくる.寒さの不快を感じる前に、冬の海の青みを体に刻んで、陸に上がる.私は水が好きだ.体に水が触れるのが好きだ.だから、まだまだウェットスーツで潜る.
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