2008年12月19日金曜日
カジメの寿命
本日は 1 ヶ月に 1 回のカジメ定期計測日だった.午前中のうちに計測作業を終えた.先月のニュージーランドでの学会では、この 8 年間に毎月潜ってとり貯めたデータを、カジメ人工群落の個体群過程という観点から整理して発表した.全部で 100 回くらい潜って得たデータなので、量も膨大でいろいろな切り口から整理できるのだが、今回は生残率や寿命を中心にまとめてみた.このシリーズの研究での初めてのデータ解析と学会発表だったのだが、面白いことがいくつか分かってきた.そのひとつがカジメの寿命だ.2001 年の年初に 60 株を人工基盤に移植したのだが、いまだに生き残っているものが 3 株あることがはっきりしたのだ.移植した時点で 1 歳だったから、現在 8 歳を超えて、間もなく 9 歳に達することになる.私の知る限りでは、カジメの寿命は最長で 7 年程度と言われているはずだったから、これは驚きである.天然岩礁でなく、高さ約 60 cm の人工基盤上にあって、物理的撹乱や摂餌の影響などを受けにくそうであるのも長生きの要因でありそうだが、本当の理由については今後の調査によって調べるしかない.これまでの計測記録の中では、茎長が 70 cm を超えるものもあったのだが、長生きの個体はいずれも茎がその半分程度の長さだった.小型の方がしぶとく生き続けることが容易なのかもしれない.なぜなのかは分からないが、これも興味深い事実だ.調べるべきことは、まだまだたくさんある.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
閲覧数ベスト5
-
東京と熱海の間を新幹線こだま号で頻繁に往復するようになっ て、気になるものがいろいろと見えてきた.ここのところどうも気になって仕方なかったのが座席の肩の部分に飛び出しているキリンの角のような突起だ.乗る時によって、有ったり無かったりする(右の写真がツノあり、左の写真がツノなし...
-
図鑑に写真が掲載されているせいか、 ワレカラモドキは ダイバーさん たちによる認知度がけっこ う高い種類である. ワレカラの仲間とし ては 3 cm を超えるサイズのものも あって大きめだし、 シロガヤやアカ ガ ヤな ど大きめのヒドロ虫の群 体の茂みに 隠れているので、比較...
-
ナマコの不思議な食事風景を見た.自宅の玄関に、いろいろな生き物を入れては眺めている小型の水槽があって、今はその中に大きさ 20 cm くらいのマナマコが入っている.食用に貰ったのだが、すぐには食べなかったので水槽に入れたまま、ペットになってしまったものだ.眺めていると、赤みを帯...
-
東京海洋大学で開催された国際甲殻類学会の東京大会はたいそうな熱気に包まれていた.世界各国から集まった研究者たちが其処此処で固まりあって話し合う姿が見られ,私たちもそんな輪の中に入って楽しい時を過ごした.研究材料を同じくするいわば同好の士が集うと話も尽きない.関連分野の研究のレベ...
-
『われから絵本』が完成し、ついに世に出始めた. 『ワレカラ』は古今集や枕草子 にも名前が出てきて、むしろ古代の人々の間でよく知られた生き物だったようだが、残念ながら現代では知名度がかなり低い.そのワレカラを、絵本にしてみた. 絵は、 大学時代の同級生でもともとは両生類の研究者...
0 件のコメント:
コメントを投稿