2009年11月6日金曜日
踊る月と花火
10 月 31 日に下田から船をチャーターして日帰りで式根島に出かけた.定期船では 1 泊しないと式根島でなにがしかの活動を行って帰ってくるのは難しい.しかし,社会人の集まりである伊豆海洋自然塾のグループでは,みなが日程を合わせて 1 泊してくるのはかなり困難だ.そこで,スノーケリングのスキルアップツアーとして漁船チャーターによる日帰り行となったのである.天気はとても良かった.雲は少なく空は晴れていた.しかし,風が強く波の高い日に当たってしまったため,往路復路とも 2 時間余の船旅は揺れに揺れた.メンバー 10 余名のほとんどは船室に横になり,私を含む 3-4 人が幌のついた後甲板に居た.少々潮のしぶきを浴びても外の空気を感じていたかった.体を起こしていることをすぐに諦めて,ゴザと毛布を敷いた甲板に横になった.そして,アップダウンしながら前後左右に傾く船底に体を密着させていた.幸い船酔いすることはなかったが,往路は本当に何も面白いことがなかった.ひたすら我慢しているだけだった.その日,皆でワイワイと楽しく 2 つのポイントでスノーケリングをして,生物観察を行って,帰途についたのは夕方だった.午後 4 時頃に式根島を発した船は夕暮れの迫り始めた海を突っ走り,下田目指して再び大波の中に突っ込んでいった.私は再び往路と同じ場所に横になり,暮れゆく空の様子を眺めながら,船底に張り付いて揺さぶられていた.空の色は刻々と変わっていった.思いついて携帯していた小型ラジオのスイッチを入れて耳にイヤフォンをねじ込んだら,とてもきれいに音楽放送が入った.美しい夕焼けが黒ずむと星が見えはじめて,やがて満月が現れた.船の揺れに合わせて視野の中を満月が全方向にダンスする.音楽に合わせて踊り狂う.ときどきは視野の中から飛び出して,またしばらくすると戻ってくる.がつんがつんと揺れている船の上で,細かい潮の飛沫も絶えずかかってきたが,気持ちはどんどん静まって,澄んだ世界の中に浮かびはじめた.何ともいえずに気持ちがよかった.月の踊りが始まってしばらくして,船は下田港内に入ったらしく,船の揺れがおさまった.我にかえって,荷物を取りまとめて下船準備を始めた.船は岸壁に近づきはじめたので,外を眺めていた.すると,突然,沖の方から花火が上がった.私たちの着岸を祝うかのようなタイミングで上がった大きな花火だった.度肝を抜かれつつも,むやみに嬉しかった.ちょうど大きな花火大会が始まったところに,私たちは戻って来たのだった.さっさと上陸して荷物を揚げると,皆で花火の観賞を続けた.花火大会の終わりが私たちのツアーの解散の合図となった.
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