2009年11月17日火曜日
インフルの日々
11 月に入って少しばかり気が緩んだせいなのか,誰かが放り投げた新型インフルエンザのウイルスをしっかりと受けとめてしまった.医者にかかって陽性反応に太鼓判をいただき,1 週間の自宅蟄居となった.2 泊 3 日でやってきた高熱と頭痛と下痢に苦しんだあとは,わりに穏やかなものだった.朝晩タミフルを服用しながら,自宅でも家族とは部屋を分けて仕事を行い,本を読み,新聞を読み,ラジオを聞いた.小学校がやはりインフルエンザで学校閉鎖になったため,幸い元気なうちの子供たちも私の蟄居後半からは一緒に家に居ることになった.しかし,何しろ父の部屋にはインフルエンザが居るということで,みながマスクをして,私の部屋に入ってくることはなかった.食事は女房が毎回部屋に運んでくれたので,大変に丁重に扱われているような案配だった.おかげで,いつになく静かに作業や考えごとを行うことができた.ひとりぼっちではなく,家族は一緒に居て,でも私の邪魔をしない.そのうえ,絶えず気遣ってくれる.なんだか理想的なシチュエーションにおかれた.そんな日々も今日で終わりである.明日は外気に触れることができる.嬉しい.でも,この得難く静かな持ち時間から離れることは,ちょっとだけ惜しい.
2009年11月6日金曜日
踊る月と花火
10 月 31 日に下田から船をチャーターして日帰りで式根島に出かけた.定期船では 1 泊しないと式根島でなにがしかの活動を行って帰ってくるのは難しい.しかし,社会人の集まりである伊豆海洋自然塾のグループでは,みなが日程を合わせて 1 泊してくるのはかなり困難だ.そこで,スノーケリングのスキルアップツアーとして漁船チャーターによる日帰り行となったのである.天気はとても良かった.雲は少なく空は晴れていた.しかし,風が強く波の高い日に当たってしまったため,往路復路とも 2 時間余の船旅は揺れに揺れた.メンバー 10 余名のほとんどは船室に横になり,私を含む 3-4 人が幌のついた後甲板に居た.少々潮のしぶきを浴びても外の空気を感じていたかった.体を起こしていることをすぐに諦めて,ゴザと毛布を敷いた甲板に横になった.そして,アップダウンしながら前後左右に傾く船底に体を密着させていた.幸い船酔いすることはなかったが,往路は本当に何も面白いことがなかった.ひたすら我慢しているだけだった.その日,皆でワイワイと楽しく 2 つのポイントでスノーケリングをして,生物観察を行って,帰途についたのは夕方だった.午後 4 時頃に式根島を発した船は夕暮れの迫り始めた海を突っ走り,下田目指して再び大波の中に突っ込んでいった.私は再び往路と同じ場所に横になり,暮れゆく空の様子を眺めながら,船底に張り付いて揺さぶられていた.空の色は刻々と変わっていった.思いついて携帯していた小型ラジオのスイッチを入れて耳にイヤフォンをねじ込んだら,とてもきれいに音楽放送が入った.美しい夕焼けが黒ずむと星が見えはじめて,やがて満月が現れた.船の揺れに合わせて視野の中を満月が全方向にダンスする.音楽に合わせて踊り狂う.ときどきは視野の中から飛び出して,またしばらくすると戻ってくる.がつんがつんと揺れている船の上で,細かい潮の飛沫も絶えずかかってきたが,気持ちはどんどん静まって,澄んだ世界の中に浮かびはじめた.何ともいえずに気持ちがよかった.月の踊りが始まってしばらくして,船は下田港内に入ったらしく,船の揺れがおさまった.我にかえって,荷物を取りまとめて下船準備を始めた.船は岸壁に近づきはじめたので,外を眺めていた.すると,突然,沖の方から花火が上がった.私たちの着岸を祝うかのようなタイミングで上がった大きな花火だった.度肝を抜かれつつも,むやみに嬉しかった.ちょうど大きな花火大会が始まったところに,私たちは戻って来たのだった.さっさと上陸して荷物を揚げると,皆で花火の観賞を続けた.花火大会の終わりが私たちのツアーの解散の合図となった.
2009年11月5日木曜日
小芋たち
女房の実家の九州から,ときどき野菜が送られてくる.義父母が丹精込めて育てた作物たちで,大きさも形も不揃いだが,いつも美味しい.何年か前にサツマイモがどっさりと送られてきた時に,大きさが 10 センチに満たないような小芋がたくさん混ざっていた.他の芋とまとめてそれらの小芋もふかしてもらったところ,ちょっと手を伸ばして食べるのに大変具合がよかった.包丁で切る必要もない.ほとんど一口か二口で食べられるし,薄い皮は剥かなくても気にならない.小芋ばかりまとめて菓子鉢に持っておくと,大変によいおやつになる.女房に聞いてみると,小芋は作り手にとっては出来損ないだそうだ.でも,私が気に入った旨をお義母さんに伝えておいてほしいと頼んでおいた.すると,翌年からは『くず芋』と呼ばれるそれら小芋たちをまとめて送ってくれるようになった.今年も小芋たちが届いて,さっそくかわいらしい焼き芋とふかし芋ができあがった.
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