2009年2月14日土曜日
最終講義のとき
大学教員は退職に際して『最終講義』を行なう.通常の講義時間よりも長い時間枠の中で、自由に語ってよいことになっている.まれに最終講義を辞退される先生もあるが、通常は大学における生活の締めくくりとして、自らが行ってきた研究と教育の道筋について語られる.最終講義はつつがなく大学生活を送ってくることができた証であり、教員にとっての卒業式である.この最終講義に与えられた時間をどのように活かすかに、語られる先生の考え方や人となりが反映されていることが多く、それを聴講できることは大変に貴重な勉強の機会となる.同じ大学の組織でもあまり縁のなかった先生である場合には、その先生の研究がどういうものであったのか、その全貌を知ることもできる.今日は日帰りで筑波に出かけて、2 教授の最終講義を拝聴してきた.スタイルの異なる最終講義であったが、いずれもさりげない語りの中に静かに心に沁みる深い感銘を伴う内容であった.時間をかけて満ちてゆき、大きな一つの世界を構築し、そこから幾多の種子を撒くことのできた人たちの与えてくれたまばゆい時間だった.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
閲覧数ベスト5
-
東京と熱海の間を新幹線こだま号で頻繁に往復するようになっ て、気になるものがいろいろと見えてきた.ここのところどうも気になって仕方なかったのが座席の肩の部分に飛び出しているキリンの角のような突起だ.乗る時によって、有ったり無かったりする(右の写真がツノあり、左の写真がツノなし...
-
ナマコの不思議な食事風景を見た.自宅の玄関に、いろいろな生き物を入れては眺めている小型の水槽があって、今はその中に大きさ 20 cm くらいのマナマコが入っている.食用に貰ったのだが、すぐには食べなかったので水槽に入れたまま、ペットになってしまったものだ.眺めていると、赤みを帯...
-
図鑑に写真が掲載されているせいか、 ワレカラモドキは ダイバーさん たちによる認知度がけっこ う高い種類である. ワレカラの仲間とし ては 3 cm を超えるサイズのものも あって大きめだし、 シロガヤやアカ ガ ヤな ど大きめのヒドロ虫の群 体の茂みに 隠れているので、比較...
-
ウニは受精やその後の卵発生を観察するのに理想的な生物だ.入手しやすいうえに放卵と放精を誘導しやすい.種類によって産卵期が異なっているために、対象種を変えてゆけば一年中発生の研究ができる点でも重宝されてきた.下田で実施される臨海実習では春期にはバフンウニを使い、夏期にはムラサキウ...
-
東京海洋大学で開催された国際甲殻類学会の東京大会はたいそうな熱気に包まれていた.世界各国から集まった研究者たちが其処此処で固まりあって話し合う姿が見られ,私たちもそんな輪の中に入って楽しい時を過ごした.研究材料を同じくするいわば同好の士が集うと話も尽きない.関連分野の研究のレベ...
0 件のコメント:
コメントを投稿