2009年5月27日水曜日

ガラスの植え込み

 金門島の磯に干潮時に出かけたところ、潮間帯のある高さのところに帯状にキラキラする物がある.よく見てみると、色とりどりのガラス瓶のかけらをコンクリートの塊で岩の上に植え付けたものだった.取り付けてからずいぶん時間が経っているらしく、ガラスが抜け落ちたり欠けたりしたものもある.それでも、うっかり転んで手をついたら大怪我をすることは明らかだ.海に近づくために磯を突っ切ってゆくときには、どうしてもこの『ガラス地帯』を通り抜けなければならない.水試の課長さんに聞いたところによると、これは 1950 年代から 1960 年代に中国との関係が悪化した台湾海峡危機の時代の遺物だそうだ.夜間に中国人が海から上陸してくるのを防ぐためのものだったという.海岸に出てみると、そこには巨大な鉄の柱が海側に傾いて林立していた.これも同じ頃の遺構で、中国船の海岸への進入を防ぐためのものだという.50 年も経つのにいまだに海岸に刻まれた冷戦時の名残は夏のような日射しの中にひんやりとたたずんで、平和ボケした私の頭に大きなゲンコツを一発お見舞いしてくれた.

0 件のコメント:

閲覧数ベスト5