金門島の磯に干潮時に出かけたところ、潮間帯のある高さのところに帯状にキラキラする物がある.よく見てみると、色とりどりのガラス瓶のかけらをコンクリートの塊で岩の上に植え付けたものだった.取り付けてからずいぶん時間が経っているらしく、ガラスが抜け落ちたり欠けたりしたものもある.それでも、うっかり転んで手をついたら大怪我をすることは明らかだ.海に近づくために磯を突っ切ってゆくときには、どうしてもこの『ガラス地帯』を通り抜けなければならない.水試の課長さんに聞いたところによると、これは 1950 年代から 1960 年代に中国との関係が悪化した台湾海峡危機の時代の遺物だそうだ.夜間に中国人が海から上陸してくるのを防ぐためのものだったという.海岸に出てみると、そこには巨大な鉄の柱が海側に傾いて林立していた.これも同じ頃の遺構で、中国船の海岸への進入を防ぐためのものだという.50 年も経つのにいまだに海岸に刻まれた冷戦時の名残は夏のような日射しの中にひんやりとたたずんで、平和ボケした私の頭に大きなゲンコツを一発お見舞いしてくれた.
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東京と熱海の間を新幹線こだま号で頻繁に往復するようになっ て、気になるものがいろいろと見えてきた.ここのところどうも気になって仕方なかったのが座席の肩の部分に飛び出しているキリンの角のような突起だ.乗る時によって、有ったり無かったりする(右の写真がツノあり、左の写真がツノなし...
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ナマコの不思議な食事風景を見た.自宅の玄関に、いろいろな生き物を入れては眺めている小型の水槽があって、今はその中に大きさ 20 cm くらいのマナマコが入っている.食用に貰ったのだが、すぐには食べなかったので水槽に入れたまま、ペットになってしまったものだ.眺めていると、赤みを帯...
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『われから絵本』が完成し、ついに世に出始めた. 『ワレカラ』は古今集や枕草子 にも名前が出てきて、むしろ古代の人々の間でよく知られた生き物だったようだが、残念ながら現代では知名度がかなり低い.そのワレカラを、絵本にしてみた. 絵は、 大学時代の同級生でもともとは両生類の研究者...
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東京海洋大学で開催された国際甲殻類学会の東京大会はたいそうな熱気に包まれていた.世界各国から集まった研究者たちが其処此処で固まりあって話し合う姿が見られ,私たちもそんな輪の中に入って楽しい時を過ごした.研究材料を同じくするいわば同好の士が集うと話も尽きない.関連分野の研究のレベ...
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図鑑に写真が掲載されているせいか、 ワレカラモドキは ダイバーさん たちによる認知度がけっこ う高い種類である. ワレカラの仲間とし ては 3 cm を超えるサイズのものも あって大きめだし、 シロガヤやアカ ガ ヤな ど大きめのヒドロ虫の群 体の茂みに 隠れているので、比較...
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