2008年10月31日金曜日
三菱 MRJ
先日、筑波大の宿泊施設に泊まって、就寝前にパック酒をすすりながらテレビを見ていたら、三菱重工でMRJ (Mitsubishi Regional Jet) という国産小型旅客機の開発プロジェクトが進んでいるというニュースが流れていた.いま私が読んでいる吉村昭の『零式戦闘機』では、第二次世界大戦の直前に海外の航空技術に頼らずに開発された国産戦闘機で、日本の航空技術を軽んじていた米英に脅威を与えた零戦の誕生と消滅が詳細に描かれている.その主な舞台となっているのが、三菱重工名古屋航空機製作所であり、主人公ともいうべき人物が堀越二郎技師だ.ひとりの人間を核として花開いた技術が太平洋戦争前半の日本の挙動に大きな影響を与えたことが活写されている.世界を変えてゆく大きな渦の中には、実はたったひとりあるいは一握りの人間しかいないことがままある.海外製の旅客機ばかりで占められた現代の空に国産機を飛ばそうという動きの真ん中では、やはり堅気の設計技師が知恵を絞っていたりするのだろうか.それとも、もうそんな時代ではないのだろうか.
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