2011年1月6日木曜日

尾頭付き高級魚

 正月の食卓には、おせち料理の他に尾頭付きの高級魚がずらっとならんだ.ひとり 2 匹ずつである.高級魚といっても天然鯛なんぞではない.シシャモ(柳葉魚)である.焼きすぎて尻尾が焦げてしまったけれど、正真正銘の本物だ.実家の母が年末に築地に出かけて箱買いしてきた.そこから我が家族分割り当てをご相伴に預かった.本物のシシャモは北海道での漁獲量が少ないため、巷に出まわっている「シシャモ」や「子持ちシシャモ」のほとんどは日本より北域で多く漁獲されるカラフトシシャモ等になっている.カラフトシシャモはシシャモと同じキュウリウオ科でも色や形がずいぶん違う.本物のシシャモよりも鱗が小さくて白っぽく、干物は痩せっぽちな感じがする.でも、カラフトシシャモの方が多く出まわっていて「シシャモ=代理シシャモ」とイメージが固定されているせいか、「本物のシシャモ」の方が本物に見えない.本物は色合いも豊かで鱗が大きく体もがっちりした感じである.味は本物シシャモの方が格段に良いと思う.カラフトシシャモで感じる水っぽさというか過剰な感じの淡白さがなく、口に入れて太くてしっかりしているうえ、身が詰まって味が濃い.とても充実感のある味のおかげで酒が進んだので、もっと食べたかったが、魚好きの子供たちの見張りの目も光る配給制度は厳しく、続きは来年になりそうである.

2011年1月5日水曜日

前に言ったことを繰り返す

 加齢に伴って、同じことを何遍も言うようになる.本人は同じ相手に同じことを繰り返し言っていることに全く気がついていない.自分も結構年を重ねてきてこのことはよく知っているから、人と話をする時にはできるだけ慎重を期すようにしている.酔っぱらった時にだって注意しているつもりである.文章を書く時にも同様である.ところが、やっぱりダメなのだ.昨日、発電と送電のくだりを書いている時に、なんだかデジャブーのようなものを感じたので、ブログ内検索をしてみたところ、この話を 2008 年 10 月にもしていて、その延長で 2009 年の年初の話題にもしていることに気がついた.まあ仕方がないから自分を赦しておくとして、嫌だったのは、やはりこの時も『送電過多で自分は薄っぺらくなりかかっている』と嘆いていることである.それ以来状況が改善されていないということなのか.トホホである.積ん読が主体となっている本たちをせっせと読みたいし、ネット上に溢れている新着論文ももれなく拾い上げたい.論文も書きたいしハーモニカも吹きたい.たっぷりと充電したいのだ.でも、いつもいつも制限要因となるのは時間である.ウナギのような私の時間を、ゴム手袋でもしてしっかりと捕まえておきたい年の初めである.

2011年1月4日火曜日

科学読物研究会

科学の本って面白い
第6集 2003-2009年
連合出版 (2010 年)  1,575 円
 いまから 10 年以上前のことになるが、地元の下田市立下田中学校で特別非常勤講師を 3 年間務めていたことがある.理科部および全校全生徒対象にいろいろと自由な授業をやらせて頂いた.総合的な学習の時間を利用したものだったように思う.フクロウナギやチョウチンアンコウやハダカイワシなど深海魚の標本を他大学から借りてきて生徒たちにスケッチさせたり触らせたり、ウニを受精させて発生を見せたり、カブトガニの幼生を観察させたり、生徒たちの各々に空想上の生物を描いてもらって、それらを分岐分類で系統解析したり.自分の大学と臨海実験センタ−での研究業務と教育業務の傍らであるから、まあ何ともとてつもなく慌ただしいことであったが、楽しい経験だった.昨年の秋頃のこと、このときの授業をプロデュースして下さった MH 先生から科学読物研究会を紹介して頂いた.また、この研究会が 1981 年以来発刊し続けている『科学の本っておもしろい』というシリーズの新刊第 6 集 2003-2009(右上が表紙) を頂戴した.この本の前の方 1 割強が科学の本の普及活動について述べられた第1部で、続く第2部ではジャンル別に科学の本が紹介されている.7 年間に発刊された科学読物の 3,500 冊ばかりを検討対象として、そのうちから 365 冊について 1 ページあたり 2 冊ずつの配分で、紹介文が書かれている.加えて関連図書も156 冊が紹介されている.分類の項目の立て方がとても分かりやすいため、求めている本に容易に行き着くことができるし、自分の知らない分野の本を上手に探索してゆくこともできる.近頃は年間の本の出版数が夥しくなって、求める本に正しく巡り会うことがとても難しくなって来ている.そんな中でこのようなタイプの良い道標となるガイドブックのシリーズが 30 年にもわたって編まれ続けているというのは、ほんとうに素晴らしいことである.関わってこられた方々の熱意と努力が偲ばれる.私が下田中学でお世話になった MH 先生は第 4 集から本の紹介の執筆を続けてこられた.第 6 集巻末の執筆者リスト中に MH 先生他の先生方のお名前をたどるうち、下田臨海実験センタ−発生学研究室の卒業生で現在大阪教育大学科学教育センタ−の教員を務める NF 君の名前を見つけて驚いた.先日久しぶりに来訪した彼と話をしていたところ、やはりこの本の話が出て、いま科学教育の普及活動に力を入れているという話を聞いた.いつか私も、このガイドブックシリーズで取り上げて頂けるような科学読物や科学絵本を作り出してみたいものだ.私と NF 君の共通の恩師である W 先生は『研究は発電で教育は送電であるから、よい送電を行うためには絶え間ない発電が必要である』と言っておられた.この意味での発電と送電のバランスをとることは、いつもは難しい.どうもここのところ、私は送電過多になっているし、電気の質も劣化してきている.質の高い電気を安定供給できるように、研究に励んで充電にも努めたい.よくまとまった質の高い研究成果は美しいものであるはずで、それについて伝えようとすれば、たとえそれが口伝えの形をとっても読み物の形をとっても、それは一般の人にも分かりやすく受け止めやすいだろう.そんな良い研究をひとつ、でも素敵なひとつを完成させられるように、今年も励みたい.  

2011年1月3日月曜日

略称につき

 正月に子供たちとテレビを眺めていたら、ダイハツの新型 Move の CM で『低燃費』を『TNP』と略称していたので、嬉しくなった.略称イニシャルを考える時にしばしば英訳してからそのイニシャルを使うが、別に日本語のままだっていいじゃないかと思っていたからである.私のビジネスダイアリーや PC 上のスケジュール表には、『KSJ』が頻出する.これは『海洋自然塾』である.他の誰も使っていないと思うが、私自身は他の略称を考え得ないくらい、もうかなり昔から使っている.そんなわけで、TNP には励まされる思いがした.それでもう少し思考の跳躍を試みた.そうか、よく考えれば日本放送協会が NHK だし経団連は KDR だ.松竹歌劇団は SKD だったし日本水産学会の和文誌の英名は NipponSuisanGakkaishi である.コレデイイノダ.そんなわけで、素敵な日本語略称イニシャルがもっともっと繁茂したら良いんじゃないかと、年初にぼんやり考えた.

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