うちの子供たちに大人気だった『スポンジボブ』という番組が最終回を迎えた.このアニメの主人公であるボブは体が直方体の海綿で、ふんどしのようなパンツをはいていて、ヒトデを友として海底のパイナップルの家に住んでいる.海の生き物たちは徹底的にデフォルメされていて、ほとんど原形をとどめていないし、ほとんどは荒唐無稽なドタバタ喜劇なのだが、それらのことは措いても海綿が主人公であるということは画期的だと思う.バラバラにされて他の生き物と混ぜられたのちに再び元の形に再生されるシーンなぞもあって、若干は本物の海綿らしいところもある.なんにしても 海の中の海綿という地味な生き物に子供たちが興味を持つきっかけになれば、こんなアニメも素敵だと思う.ただ、日本語タイトルが『スポンジボブ』なので、子供たちは『洗濯用のスポンジ』が主人公だと思っている.洗濯スポンジのもともとのルーツが海綿にあるとはいえ、ここはアニメの題名 を『かいめんボブ』にしてほしかった.私の知る限りで海綿が主人公として出てくる物語はイタリアのアレッサンドロ・ボッファによる『おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ』だけである.この奇妙な物語の中では、主人公であるヴィスコヴィッツがいろいろな動物に転生しながら生きる意味について考えてゆく.その動物の中の一つに海綿があった.こちらのほうが海綿の暮らしをリアルにとらえていて、海綿としての暮らしを実感できる内容だった.岩に張り付いてプランクトンを吸い取って暮らすというのは、陸上の動物には見られないライフスタイルである.日々忙しくタテにヨコに移動して暮らす我々が海綿たちのそんな暮らしに思いを馳せてみれば、世事の見方も少々変わってくるはずである.
閲覧数ベスト5
-
ナマコの不思議な食事風景を見た.自宅の玄関に、いろいろな生き物を入れては眺めている小型の水槽があって、今はその中に大きさ 20 cm くらいのマナマコが入っている.食用に貰ったのだが、すぐには食べなかったので水槽に入れたまま、ペットになってしまったものだ.眺めていると、赤みを帯...
-
震災後の2011年7月1日からラジオ体操が日常のルーチンになったので、5年目突入だ。7月20日から今年も夏季巡回ラジオ体操が始まった。毎回の放送のはじめに開催地の解説があるため、体操自体は時間が微妙に短くなる。イントロのウォームアップ体操が2種類から1種類になり、第1体操と第2...
-
野鳥というのは、ヒトがある一定の距離以内に近づくと、忽ち逃げてゆくものだと思っていた.カラスもそうだったはずだ.ところが、最近、ずいぶんに近くまで寄っていっても、 なかなか逃げてゆかないものが多い気がしている.1 m より短い距離まで接近しても目が合っても、平気で柵や樹木の梢や...
-
トチノキに興味を持ったのがきっかけで、木の名前を調べ始めた.ずいぶん前に買って「積んどく書籍」になっていた「 落葉図鑑 」が活躍しはじめた.南三陸町へ向かって三陸道を往復し始めた頃だから 6 月半ば頃のこと.調査用の公用車であるダットサントラックの助手席で、高速道路の脇を埋める...
-
街角のファストフード店の窓際に座って、食後のコーヒーを飲みながら外を眺めていると、外の街路を行き交う人々のいろいろな様態が見える.服の色、髪型、体型、同伴者との位置関係、子供の連れ方、荷物の携行の仕方など、様々に違っている.それぞれが個々の生きて来た履歴から吹き出している性状だ...
0 件のコメント:
コメントを投稿