2008年7月25日金曜日

あんぱんとブラックコーヒー

 あんぱんをかじりながら熱いブラックコーヒーをすするのが、大好きだ。いつの頃からか、私にとってのベストマッチのひとつになった。あんぱんは薄皮のものよりも、大きくて皮が厚めのほうがよい。口の中でパン皮にブラックコーヒーがしみ込んで、かみつぶしてゆく餡と混ざってゆく感じがたまらない。パンの表面に散らしてあるのは正統な芥子粒よりも黒ゴマの粒の方が、香ばしくて嬉しい。10年前の3月半ばのこと、私の長男は私が熱海駅での乗り換えのとき、自販機のカップコーヒーをすすっている最中に生まれた。初めての子供が生まれそうだとの連絡をもらって、東京の病院に大急ぎで向う途中だった。気は急くのに電車は来なくて、ホームの上はなんだか寒くて寂しくて、それで熱い熱いコーヒーが欲しくなった。もちろん、誕生時刻にコーヒーを飲んでいたことは、あとで分かった事だ。それ以来、熱海駅で乗り換えの時に少しでも時間があると、すぐにカップコーヒーを買ってしまう。あの時の気持ちがフッとよみがえるからかもしれない。近くのコンビニや売店で買った大きめのあんぱんがカバンに入っていれば、取り出してコーヒーのお供となる。

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