2009年7月19日日曜日

座禅和讃

 東海大学の沼津キャンパスで毎年 6 月頃に毎週生物学実習を行ってきた.開発工学部医用工学科の学生を対象としたもので、キャンパス移転が予定されているために 5 年目にして今年度が最後となった.実習ではプランクトンの観察、土壌動物の観察、ウニ初期発生の観察などを行っていた.
 下田から熱海経由で沼津キャンパスに向かう際の最寄り駅は東海道線の原駅で、下車してから東海大行きのバスを待つことになる.たいてい 30 分未満の待ち時間だったが、通い始めの頃、いつもの習性で何か面白いものはないかと静かな佇まいの駅前広場をうろついてみた.ひと巡りしたところ、駅トイレの裏手に立っている周辺案内図が眼に留まった.何も特別なものを期待してはいなかったが、その中に白隠禅師の名前が出てきて興味を持った.禅の教えを分かりやすく広めた僧で、駅の近くに縁の寺があるという.それまで白隠禅師について何も知らなかった.富士山に並ぶ駿河の名物であることも知らなかった.自宅に戻ってからどんな人物かを調べ、座禅和讃の存在も知った.でも、それだけのことで、その後白隠禅師と座禅和讃はずっと記憶の片隅に追いやられていた.原駅での乗り換え時間が短かったこともあって、ついに菩提寺である松蔭寺にも行くことがなかった.
 ところが、つい最近、ひょんなことから自分が座禅和讃を朗ずることになった.息子の母親同士のつながりで、女房と子供たちが下田市の泰平寺で月に 1 回日曜の朝に開かれている座禅会に出かけ始め、やがて誘われて出かけたのである.午前 9 時からまず読経する.そして座禅を 30 分ばかり行い、最後に説教があって、あとは参加者の懇話会である. 1 時間半ばかりの静かなひとときだ.その読経の際に、般若心経を読むことは聞かされていたので、生物学者であった柳澤桂子氏による般若心経の解説書『生きて死ぬ智慧』などを読んでいた.ところが、皆で朗ずる経文はひとつだけではでなく、四弘誓願文などと併せて座禅和讃も含まれていたのである.時々ではあっても何度も朗ずるうちに、だんだんと中身が気になってきた.聴いたところからもおおまかには言っているところは分かるような気がするのだが、どうも詳細が分からない.そろそろ解説書をあたってみたい心持ちになっている.書画もいろいろと見たくなってきた.松蔭寺にもいちど訪れてみよう.

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