2010年11月14日日曜日

街の灯を抱きしめたい

 ビルや鉄塔や民家が密集して並ぶ夜の街の灯を遠くから眺めるのが好きだ.建物の色やら細かな形やらは消し飛んで、人の気配や人の活動の証しのみを遠くから望んでいるような気持ちになる.大小色とりどりの灯りの点の寄り集まりが何とも美しくも愛おしい.そこかしこに散らばった灯りたちを、人々の営為を、両手で掻き集めて抱きしめたくなる.特に好きなのは、多摩川や隅田川など大きな川の下流の川幅が広いところで、橋の上から望む景色である.街の灯りの塊を川でスッパリと切り落とした断面のようで、手前を遮られることのない光の広がりが遠くまで続く.街の灯は楽しい.街の灯は嬉しい.突然ポップアップする街の灯もある.下りの小田原厚木道路だろうか、ナトリウム灯と暗闇のつくる黄色と黒の縞模様が内部を彩るトンネル (写真右上*) を抜け出ると、いきなり市街地の灯りが視野全体に広がる(写真右下).下り坂なので、スピードが出ていると車ごと灯りの景色のなかに突っ込んでゆく心持ちになる.こんな場所の街の灯は、驚きを伴って嬉しく美しい.      
 * 追記:弁天山トンネル(980 m)でした.

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