2010年5月18日火曜日
水中老眼
海底で、ノギスと物差しを使って海藻の大きさを測る研究作業がある.もう 10 年以上ほぼ毎月続けているのだが、冬の作業は辛い.動き回らないために体がしんしんと冷えて、手先と足先が次第にしびれてくる.1 年の間では 1-2 月あるいは 3 月までの短い時期のことではあるのだが、とにかく辛抱を要する.計測対象の海藻個体数が多いために、私ともうひとりのスタッフで組んで作業を行ってきた.しかし計測スタッフの加齢にともなって、辛抱ではどうにもならない困難が生じてきた.それは老眼の進行である.空気中であれば、ある程度距離を離せば文字が見える.水中では空気中との屈折率の違いで物の大きさは 1.3 倍に見えるから、それも助けになるはずである.ところが空気中と異なって、水中では濁りのきついことが多い.物差しやノギスの目盛からちょっと目を遠ざけると、時期によっては濁りのために文字が全く読めなくなる.私はまだそんなに老眼が進行していないが、わが計測パートナーは苦しみ始めている.メガネを使えばよさそうなものだが、水中でメガネを取り替えるのは厄介である.上下で近眼と老眼のレンズが分かれているダブルレンズの水中マスクを誂えてもらったようだが、近いところを見るのはかなり面倒らしい.本格的な人員交代に備えて、現在若手に作業ノウハウを教育中である.私も近い将来に迫りつつあるこの困難に、何らかの対応を準備しなければならない.
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