2010年3月19日金曜日
磯バンビ
月曜から始まった 4 泊 5 日の臨海実習が終わった.この実習では、磯の生き物やプランクトンを観察して描いた学生全員のスケッチを、取捨選択せずに編集して冊子にまとめる.編集作業は学生たちが自ら行う.学生たちはその過程で他の人のスケッチを見ることもできる.また、スケッチを切り貼りしてとりまとめてゆくプロセスは一種の系統分類学でもある.学ぶ事は楽しくなければならない.楽しく作業するために、表紙や全体のデザインは絵心のある学生たちに任せ、各ページのスケッチの隙間には落書きをすることも許す.完成した冊子はコピーして学生たちが帰る前に配付するのが恒例である.今回はスケッチのレベルが高かった.加えてとりまとめの手際が良かったせいもあって、ゆとりがあったためか、落書きの量も多かった.そんな落書きのなかに、私を『雌鹿』に例えているものがあった.『磯バンビ』だそうだ.磯採集の折りに、磯全体に散開した学生たちの間をぴょんぴょん訪ねて巡る私の姿を、そのように捉えたらしい.でも、なぜカモシカでもインパラでもなくて雌鹿なのだろう.体型的にはカモシカの方が相応しそうだ.この命名の謎について、ちょっと考えて気が付いた.私は動物以外にカジメの研究も行っている.学生たちもそのことを知っている.きっと、カジメを反対から読んだところから、着想したに違いない.磯バンビはそこからの連想であろう.
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